科学の甲子園が開催されました

科学の甲子園が開催されました

「第1回科学の甲子園全国大会(主催 独立行政法人科学技術振興機構)」(3月24日~26日)が西宮市の兵庫県立総合体育館で開催され、全国47都道府県の代表高校と、特別枠参加の福島高専の合計48チーム、363名の生徒たちが全国一をめざして科学分野でのさまざまな課題に取り組みました。

 この取り組みは高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校の生徒チームを対象として、理科・数学・情報における複数分野の競技を行う大会です。2011年度に文部科学省で新規事業として決定したもので、「全国の科学好きな高校生が集い、競い合い、活躍できる場」「運動系の全国大会に匹敵する科学好き高校生の全国大会」として位置づけられた企画です。このような場を創ることで、科学好きの裾野を広げるとともに、トップ層を伸ばすことを目指しています。
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 地区予選は各都道府県教育委員会等が主催となって昨年夏からこの2月にかけて順次行なわれ(福島県は予選を行なわず、日常の活動を踏まえて教育委員会が選考、富山県はとやま科学オリンピックの結果をもとに選考委員会が選出)、5000名以上が参加しています。全国大会は3日間ですが、競技そのものは1日目と2日目で、3日目は参加した生徒たちのエクスカーション(科学技術関連施設などを見学、体験など)でした。

 競技は筆記(各分野から12問)、実験2問(化学と生物)、総合2問(分野横断)の計5課題で、いずれもチームで協力して問題を解く団体戦です。

筆記でも、各自の得意分野を生かした役割分担やコミュニケーションなどのチームワークで、共同作業で解いていきました。化学の実験はマグネシウムの燃焼熱を求める問題、生物の実験は植物組織の標本をつくり、デジカメで撮影した顕微鏡像から植物種の判別や構造の識別などを行うものです。

総合の1問目は「甲子園の土」と題した問題で、一辺24センチの正方形の段ボールを切り、セロテープで貼り付けて容器を組み立て、甲子園の土に見立てたカラーサンドを入れてその質量を競うもの、2問目は「クリップモーターカー・フォーミュラー1」で、磁石やエナメル線でつくったモーターで模型自動車を走らせ、コース上で速さを競うものでした。 問題は科学技術振興機構のホームページで公開されています。


筆記は筑波大附属駒場(東京)、化学実験は土佐(高知)、生物実験は筑波大附属駒場(東京)、「甲子園の土」は県立浦和(埼玉)、「クリップモーターカー・フォーミュラー1」は県立膳所(滋賀)がそれぞれ最高得点で、全競技合計では県立浦和(埼玉)が金メダル、県立膳所(滋賀)が銀メダル、県立岡崎(愛知)が銅メダルでした。

 このように高校生が科学分野で競うことは、科学教育の分野で大きな意義のあることです。この企画と連動したものに、スーパーサイエンスハイスクールがありますが、こちらは各校ごとの研究発表の色合いが強いのに対し、こちらはチームによる競技です。

会場となった兵庫県立総合体育館は、ホンモノの甲子園がある阪神電鉄甲子園駅からバスの立地で、競技が行なわれた3月24~26日は実際にセンバツ大会も行なわれていました。科学の甲子園が野球の甲子園と並ぶ大会に育ってほしいものです。