埼玉県の私立高校入試は?

埼玉県の私立高校入試を探る!

全体情勢

 公立高校が前期募集と後期募集を一本化しますが、もともと私立高校の中心となる入試は早慶・立教新座を除いて1月22日からです。

公立第一志望の受験生は従来も併願の私立高校の合格を決めてから公立入試に臨んでいました。この関係は今回の前後期1本化でも変わりません。ただ、前後期が1本化になることで、公立前期募集を高めで受験し、後期募集は安全策で受検する、といった出願ができなくなります。

比較的成績上位の受験生は、公立高校を選ぶにしても「こだわり」が強い受験生が多いことから、安全志向で公立を1ランク下げる、といった受験生はあまり多くありません。納得できる私立の併願校と、「最後の砦」の私立を受験するケースが多いと思われます。

しかし、中堅校から比較的入りやすい公立高校を考える受験生では、「絶対公立派」の受験生も多く、1ランク下げた無難な公立を選ぶ受験が広がりそうです。こうなると、私立は「最後の安全策」といった選択になりますので、こうしたコースは志願者が増えるかもしれません。

また、今春は就学支援金の効果もあって私立志向が高まりました。特に、例年なら公立の中堅までの学校との併願者が多いと思われる私立高校のコースの受験生に単願が増えたり、併願前提で受験しても私立に手続きするケースが目立ちましたが、来春もこの傾向は続きそうです。東京都が多数派ですが、他都県私立高校から県内私立高校への受験生の流れも今春同様見られそうです。

公立中3生の生徒数は、今春よりも1,800人程度増加しますが、私立高校の受け入れ枠は十分ありますから、全体としてはあまり今春と変わらない入試になりそうです。ただ、個々の学校ごとでは志願者がかなり増えるケースもあるかもしれません。学校の持つ人気で動向が決まるでしょう。

最難関校

慶應志木・立教新座・早大本庄の3校は県内の他の私立高校とは一線を画しています。来春も東京都内・神奈川県内の最難関附属校や千葉のトップ3校などとの併願が多くなるでしょう。慶應志木と千葉の渋谷幕張の後期が重なりますが、多くの併願受験生は渋谷幕張を前期で受験しますから、あまり影響は大きくないと思われます。

また、前述のように公立高校入試が前後期1本化となりますが、これら3校の入試が終わってからの出願になりますので、公立高校側に影響があっても、これら3校には影響はなさそうです。3校とも人気動向に大きな変化は見られません。東京都内・神奈川県内の最難関附属校を第一志望にする受験生が多いので、来春も合格ラインは今春とあまり変わらないと思われます。

南部地域(旧第1通学区・岩槻区含む)

男子校の小松原は今春単願・併願とも志願者が増えました。特に工業系が大きく増えて、普通科は総合がやや増えましたが、来春に向けては人気に目立った動きはありません。今春並みの合格ラインになりそうです。女子校の小松原女子も今春は志願者が単願・併願とも増えました。総合進学に人気が集まったようです。来春に向けても総じて今春並みの人気は維持しているようですが、福祉進学は人気に陰りが見られます。福祉系は全体的に人気下降気味ですので、その影響でしょう。福祉進学は少し入りやすくなるかもしれませんが、他のコースは今春並みの合格ラインになりそうです。

淑徳与野は今春志願者数が減りました。同校は選抜A・Bを3科受験にして志願者増を図っています。実際のところ志願者が増えるかどうかは、現段階では何とも言えませんが、人気はそれほど変わっていないと思われますので、各コースの合格ラインは今春と大差ないでしょう。

 男女校のトップ校は栄東で、東医クラス、アルファ、アドバンスとも人気に変動はないようです。東医クラスやアルファは、来春もやはりかなり高い合格水準になりそうです。開智は今春志願者が減りました。来春はA類の募集を停止し、A類特選をD類に変更します。D類はA類の募集を停止したことから、少し入りやすくなるかもしれません。S類は今春並みの合格ラインでしょう。

大宮開成は各コースとも今春並みの人気のようですが、国立総合Ⅰは少し人気に陰りが出ているようです。コースが細分化されていることもあって、合格ラインそのものは各コースとも今春並みと思われます。

武南は今春単願の志願者がやや増えましたが、来春に向けては併願も含め、上位コースの人気が上がっているようです。特進はやや難化するかもしれません。昨年、今春と志願者が大きく増えた浦和学院は来春に向けても人気は続いているようです。グローバルとアブソルートはやや合格ラインが上がるかもしれません。ただ、保健医療は人気に陰りが出ているようです。少し入りやすくなるかもしれません。

埼玉栄は今春併願の志願者は減っています。来春に向けては、上位コースの人気に陰りが出ているようです。αは少し入りやすくなるかもしれません。他のコースは今春並みの合格ラインでしょう。浦和実業は今春進学の単願受験生の増加が目立ちました。来春に向けてはS類を特別選抜S類と改称し、新たに選抜αコースを設置します。人気はあまり変わっていないようで、選抜αコースは選抜コースのやや上、他のコースは今春並みの合格ラインになりそうです。

栄北は特進選抜類の募集定員を増やしますが、人気は特に変わっていないようです。各類型とも今春並みの合格ラインでしょう。国際学院も特に人気に目立った動きは見られません。各コースとも今春並みの合格ラインになりそうです。

秀明英光は特進の人気に陰りが出ていますが、同校の看板である国際英語は人気が上がっています。国際英語は少し難化して特進と並ぶようになるかもしれません。国際学院は人気に大きな変化はないようです。各コースとも今春並みの合格ラインになりそうです。浦和ルーテルは来春も小規模な入試でしょう。

西部地域(旧第2通学区)

男子校では今春川越東、城北埼玉、城西川越とも幅はあるものの併願の志願者は減って、男子校人気に陰りが見られました。来春に向けてはコース等の改編もないことから、人気動向に大きな変化は見られません。地域的に男子校の川越高校との併願受験生がもっと増えても良さそうなものですが、栄東などに流れているのでしょう。3校各コースとも合格ラインは今春並みになりそうです。

女子校でも星野・女子部は今春併願受験生が減少していますが、来春に向けても人気動向はあまり変わってはいません。各コースとも今春と大差ない合格ラインになりそうです。秋草学園は今春進学や幼児教育を中心に単願の志願者が増ましたが、やはり併願は減少しています。来春に向けてはコースの統合を行いますが、やはり人気に大きな変化はなく、合格ラインも今春とあまり変わらない水準になりそうです。男子以上に女子は女子校を避ける傾向が強い影響でしょう。

男女校では西武文理の志願者が今春は減少していますが、人気はあまり変化がないようです。各コースとも今春並みの合格ラインになりそうです。星野・共学部はS類を新設します。入試の規模は大きくありませんが、堅調な入試が続いていますので、選抜αよりもやや上の合格ラインになるでしょう。他のコースは今春並みと思われます。

県内では珍しいプロテスタント校の聖望学園は、今春併願の志願者が減りましたが、来春に向けても人気にあまり変化はありません。東野も今春、大学進学βを中心に単願・併願の志願者が増えましたが、来春に向けては人気に変化は見られません。山村学園も人気に変化はなく、3校各コースとも今春並みの合格ラインになりそうです。

昨年志願者が大きく減った狭山ヶ丘は、今春は昨年並みの志願者でしたが、来春に向けても人気はいま一つのようです。Ⅰ類難関は少し入りやすくなるかもしれません。他の類型は今春並みの合格ラインでしょう。西武台は昨年、今春と志願者が増加傾向でしたが、反動でやや敬遠傾向が出ているようです。特進選抜を考える女子の人気が少し下がっているようですが、各コースとも合格ラインは今春並みと思われます。

細田学園は今春総合や進学を中心に、単願・併願とも志願者を増やしました。来春に向けては人気動向に大きな変化はありませんが、調理師(食物科)の注目度が上がっているようです。同コースはやや難化するかもしれません。他のコースは今春並みの合格ラインでしょう。

山村国際は今春志願者がやや減りましたが、来春に向けても人気はやや下火です。特進は少し入りやすくなるかもしれません。普通は今春並みの合格ラインでしょう。このほか、音楽の東邦第二、武蔵野音大附属と、独自の存在の自由の森学園は来春も小規模な入試になりそうです。

東部地域(旧第8通学区・岩槻区除く)

新設の開智未来は未来クラスと開智クラスの2コース制でスタートしました。当初の説明では「未来クラスは開智本校のS類の少し下、開智クラスはA類の少し下のレベル」という説明でしたが、実際の結果では、開智クラスはA類の少し下のレベルでしたが、未来クラスはA類特選(来春からD類に変更)とほぼ同じだったようです。単願・併願と多くの受験生を集めましたので、受験生に浸透したと言えます。来春に向けては、岩槻の開智本校でA類の募集が停止されるため、受験生が一部流れてくるものと見られます。未来クラスの合格ラインは今春並みと思われますが、開智クラスはやや上がるかもしれません。

昌平は今春人気が爆発状態で志願者が増えました。学校の評価が上がっています。来春に向けては、競合する地域の各私立高校が募集にかなり力を入れているため、反動もあって志願者は少し減るかもしれませんが、各コースの合格ラインは変わらないでしょう。新設のT選抜は特進選抜の少し上の合格ラインは確保しそうです。

獨協埼玉は今春単願の志願者が増加、花咲徳栄は併願の受験生が少し減少しました。春日部共栄は併願の受験生がやや増えています。各校それぞれですが、来春に向けては人気動向に変化はなさそうです。一部昌平の受験者層が流れ込むかもしれませんが、各校・各コースとも合格ラインは今春とあまり変わらないと思われます。

北部地域(旧第3~第7通学区)

まず東上線側。大妻嵐山は併設中学からの中高一貫のイメージが強くなってきてから、高校の人気はいま一つでしたが、今春は志願者数をキープしました。来春に向けては理数アドバンスの人気が上がっているようです。上がっているといっても、女子校で理数ですからそれほど大きなものではありませんが。同コースはやや難化するかもしれません。他のコースは今春とあまり変わらない合格ラインでしょう。

東京農大第三は今春単願の志願者がやや増えましたが、併願は少し減っています。武蔵越生は昨年並みの志願者数でした。来春に向けては東京農大第三がアスリートコースを総合進学に組み込みますが、両校とも人気に変化はないようです。両校各コースとも今春並みの合格ラインでしょう。

埼玉平成も今春併願受験生がやや減りましたが、来春は医療類型を募集停止とし、特別選抜以外のコースを再編成します。やはり人気に変化はないため、特別選抜は今春並みの、再編成する各コースも今春とはあまり変わらない合格ラインになりそうです。

JR線側では、東京成徳大深谷は今春単願志願者が増加で併願者は減少しています。来春に向けては進学コース保育専攻・進学コース総合進学を進学コース保育・総合系として女子のみ募集から共学募集に切り替えます。総合進学の男子募集が始まりますが、人気動向にはあまり影響はないようです。むしろコース改編が行われない上位コースの人気に変化が見られます。特進選抜の人気が上がり、その分特進は少し下火になっているようです。同校希望者が二極化しているのかもしれません。特進選抜は少し難化するかもしれません。他のコースは今春並みの合格ラインでしょう。

正智深谷、本庄東、本庄第一も、やはり今春は単願志願者が増加傾向で、併願者は減少気味でした。来春に向けては人気動向に変化は見られません。各校・各コースとも今春とあまり変わらない合格ラインになりそうです。