2012年度埼玉県高校入試進路希望結果1

2012年度の埼玉県高校入試進路希望結果 その1

埼玉県から、中学3年生の10月1日現在の来春の進路希望結果が発表されました。

まず、中学校卒業予定者数は、昨年よりも2,130名の増加です。

東京など、首都圏各都県も1,000~2,000名の増加です。人口増加に伴って高校進学希望者数も1,950名増えています。

進路希望未定者は昨年4.7%から4.1%に減少しましたが、今年はまた増加して中学卒業者数対比では4.3%でした。


進路希望先の前年対比では県内国立(筑波大坂戸)が5名減っている以外、すべて増加していますが、人口が増える年ですからむしろ率に注目します。

昨年との率の比較では県内全日制公立が0.4%ダウン、県内私立が0.5%増で、他はすべて0%~0.1%の変動です。昨年は全日制公立が1.2%ダウン、県内私立が0.9%アップでしたので、昨年ほどではないにせよ、「数字上は公立離れと私立志向の上昇」が続いていることになります。

 ここで注意しなければならないことは、埼玉県の進路希望調査は、公立中のみを対象としているのではなく、国公私立中を対象としている点です。

東京・神奈川・千葉でも同種の調査はありますが、公立中を対象としています。したがって、表の希望者数には私立中から併設の私立高校への内部進学希望者も含まれています。内部進学希望者が増加しているなら、「一般的な高校受験」の観点からは必ずしも「私立志向の上昇」とは言えなくなります。

そこで今回と昨年の全日制公立高校と県内私立高校の希望者数を学校基本調査の速報値で割ってみました。公立中の生徒数には埼玉大附属を含んだ国公立生徒数とし、私立中3年生は全員内部進学(私立高校希望)として計算したものが次の表です。

今年は私立中3年生の人数が昨年よりも371名増えています。

このため、私立高校希望者数から私立中3年生の人数を引いて、国公立中3生徒数で割り算すると、私立中希望率は昨年同様の7.4%でした。これでは「私立志向の上昇」とはいえません。「私立志向は横ばい」と考えた方が良さそうです。

全日制公立志向もこちらの数字を用いると79.2%から78.9%に0.3%ダウンです。「公立志向はやや減」といったところでしょうか。ちなみに昨年は同じ計算をしたところ、国公立中からの私立希望率は1.2%上昇していました。

 このような結果になるのは私立中3生の増加が大きいからですが、これは昨年に比べ、東京農大第三の中学のⅠ期生が中3になったこと、栄東・開智・大宮開成・星野学園・浦和実業などで前年の中3よりもクラス数が増えていることが理由です。


 次に、全日制公立高校の学科別希望者数を見てみます。

人口増加ですから普通科、専門学科、総合学科とも増えていますが、構成比を見ると普通科がマイナス、総合学科がややプラスでもっぱら専門学科が増加しています。

「手に職」志向だけでなく「普通科が難しそうだから専門学科」という生徒もいるでしょう。

人口増加に対応して公立高校の定員も増えますが、定員増になるのはすべて通常の普通科で、蕨、所沢、越谷北など34校1,340名(市立川越は20名、他は40名ずつ)です。

普通科コース、専門学科、総合学科は一切増えません。人口が増えない地域では定員削減もありますが、その中には熊谷工業と市立川越の専門学科の削減もありますので、その分さらに専門学科は定員が少なくなります。

生徒の希望と募集定員の設定がミスマッチになっています。