中学教科書がページ25%増に

中学教科書がページ25%増に

2012年度(来年度)から使用される中学教科書の検定結果が30日、文部科学省から発表されました。

新学習指導要領に基づく「脱ゆとり」路線が、昨年検定対象になった小学校教科書に続いて鮮明になり、全教科の平均ページ数が現行版と比べて25%増えて、理科と数学はそれぞれ45%と33%増加します。

中でも、イオン(3年理科)や2次方程式の解の公式(3年数学)などが本格的に復活してきます。東日本大震災については、多くの出版社が早ければ年内に記述追加を申請する姿勢を示しているそうです。

また、「我が国と郷土を愛する」とうたった改正教育基本法を反映して、領土に関する記述が増えています。社会の教科書を発行する全7社が竹島と尖閣諸島について触れて、「日本国固有の領土」などと書き込んだということです。「伝統文化」の記述も、各教科を通して増加の傾向です。

現行学習指導要領下で学ぶ内容を大幅に削減した00年度検定(02年度使用開始)以来、10年ぶりの全面的な見直しとなった今回の検定。

当時と比べると、ページ数は全教科平均で36%、理科78%、数学63%それぞれ増加しました。(グラフは時事通信社から)

国語は森鴎外など近代以降の代表的作家の作品が充実しています。社会は国内各地域の学習などが復活して、英語は取り扱う単語が900語から1200語に増えています。

出版各社は、知識詰め込みに戻るのではなく、論理的に考え、表現する力を育成することや、知識と実生活を関連付けることに工夫を凝らしています。一度学んだことを復習させ定着を図る「反復」もふんだんに取り入れられて、数学では全体の2~13%を占める程です。

ただ、02年度から実施されている週休2日制は変わらないので、授業時間の増加は学習内容増に全く追い付いていません。文部科学省では「全てを教える必要はない」としているので、今後は学校現場の工夫が必須となるようです。